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第5話 蟻のように働くー魚編
今日からサバイバル生活でやるべきこと

食料の備蓄
できるだけたくさん確保して保存食にできないか。

枯れ木の備蓄
できるだけたくさん確保して炭をつくれないか?

(今日から蟻のように働かないと冬に生きていけない。まずは魚とりだ。)

釣り道具、レジ袋と鎌を持って川に向かう。山菜はないか?キノコはないか?柿みたいな木の実はないか?よく見ながら信が切り開いた獣道をよく見ながら行くと松茸のようなキノコを発見。よく見ると松茸らしい。松茸らしいというのは、信は松茸をほとんど食べたことがないので”らしい”ということになってしまった。スーパーでちらりと見た記憶と比べると松茸のように見える。

(ラッキー!タイムスリップで不条理なことばかり続いている。しかし、元の時代でほとんど食べたことのない松茸を食べられそうだ。超不幸中の小さな幸いだ。干し椎茸というのがある。同じように干し松茸にしてしまえ。帰りに松茸を採っていこう。)

川に信は到着した。釣りを始めようとしたとき信に心配が爆発した。

(釣り糸も釣針もやがては使えなくなる。釣針は全部で釣セットの5本だけ。これがなくなったら釣ができなくなってしまう。イメージしたサバイバル生活のいち手段がおわってしまう。どうする?)

信はしばらく考え続けた。考えるというより過去に聞いた話で参考になるようなことはないか?必死で思い出した。

(あっ、そうだ。山に住んでいた魚獲りの好きな友達が言っていた。)
「魚は釣でなくても取れるよ。ヤスっていうフォークのような銛を竹につけてそれで魚を突くんだ。案外うまくいくよ。それからゲンノウっていう大きな金槌で石を叩くと魚が気絶して浮いてくるんだ。更に究極は手握り。魚のいそうな場所にそっと手を入れて魚の感蝕を感じながら狭いところに追い込んで握る。慣れるとこんな簡単な方法で魚がとれてしまうんだ。」

(ヤスを作るのは今は無理だ。後でゆっくり考えよう。すぐできそうなのは手握りだ。早速挑戦だ。)

この川は魚がたくさんいる。超不幸中の小さな幸いのふたつ目だ。どこで探せばいいか試行錯誤を続く。やがで大きな石をあるところに魚がいることが多いことがわかった。手に神経を集中させて魚が握れる瞬間を待つ。そして、成功!大きな魚がとれた。数匹の魚をとることができた。

(次はゲンノウだけどそんなものはない。石に衝撃を与えて魚を気絶されるだけなら石を魚のいそうな石に当てても同じだ。やってみよう。)

川だから石はたくさんある。10キロくらいの石つかって魚のいそうな石にぶつけてみる。案外重労働だ。10回以上かやってみる。一匹魚が浮いてきた。このやり方で魚が取れることがわかった。信はこの方法を
石爆弾
と名づけた。
結局、釣をしないで魚を10匹以上とることができた。

(よかった、よかった。釣は冬の寒い日など川に入るのが辛いときだけにしよう。釣道具は大切にしなければ...今日は大漁。次は松茸だ。)