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第3話 サバイバル生活スタート
オレは歴史を変えることにまったく心配しなくていいんだ!
誰にも接触しないで生きていく。

(これで方針が決まった。今日はあまりにも疲れた。寝よう。)

朝が来た。サバイバル生活の初日を祝ってくれるかのような快晴だ。

(釣りに行こう。食料ゲットだぜ!)

どうにか覚えた獣道(というか信が切り開いた信道)を降りて川に着いた。水面をよく見る。大きな魚や小さな魚、沢山いる。

(これなら飢え死にすることはなさそうだ。よかった、よかった!)

面白いように魚がつれる。これで今日の食料は確保できた。

(さぁ、食事だ。いや待てよ。どうやって調理をするんだ?火をどうやってつける?とりあえず車に戻って何かないか探してみよう。)

タイムスリップする前にコンビニで買ったお茶のペットボトルに水を汲んで、釣った魚はレジ袋にいれて車に戻った。車の中を探す。助手席のシートの下にタバコとライターが落ちていた。

(ラッキー。この間友達を車で家まで送っていったとき、タバコとライターを落としたんだ。腹が減った。食事だ。食事だ。)

信は雑木林から魚に刺す串になりそうな細い木と枯れた落ち葉を集めてきた。魚を焼くのは簡単だと思っていた。しかし、魚に串が刺さりにくかったり、落ち葉に火がつきにくかったり思ったように簡単ではないことがわかった。やっと焼きあがった。自給自足の初めての食事だ。あっという間に完食した。

(うまかった。だけど少し物足りない。そうだ、塩も醤油もつかってなかったんだ。今、塩も醤油も手に入らない。塩分を取りすぎると高血圧でよくないらしい。しかし、塩分をまったく取らないとどうなるんだ?確か暑い日には塩分補給のようなことを聞いたことがある。ということは暑いときがヤバイということになりそうだ。塩に限らずそのほかの栄養分はどうやって取ればいいんだ。想定している食事で健康が保てるのだろうか?栄養のアンバランスで病気になったらどうする。怪我をしたらどうする。虫歯になったらどうする。健康を考えると大問題で積み重なって富士山にでもなりそうだ。病気になってあっけなくこの時代で死んでしまうこともありそうだ。テレビでやっていた無人島でサバイバルライフなんて今のオレから比べたら天国だ。あっ!今はライターで簡単に火がつけられた。いずれライターは使えなくなる。どうやって火をおこすんだ。)

信に巨大な不安が襲ってきた。

(そうだ、悪いことばかり考えるのはやめよう。すぐに元の時代に戻れると楽観的に考えよう。しかし、そんなに都合よくいくのか?自分の同級生が老人になっていた時代に戻ってしまったら.....それより、恐竜の時代に更にタイムスリップしてしまったら....)

考えるほど不安がさらに増大した。
サバイバル生活の初日から問題が多いということがわかった信であった。
今日わかった深刻な問題点。
食と健康。
火をどうする。